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お金をかけずに採用できる?無料でできる採用方法を徹底解説!

お金をかけずに採用!無料でできる採用方法

「お金をかけずに人材を獲得する方法を知りたい」「これ以上求人予算を掛けられない」このように、採用コストの増加にお悩みを抱えていませんか。

採用難がさけばれる昨今、いかに効率的に人材を確保するかは企業経営の最重要課題といっても過言ではありません。しかしながら、求人広告をたくさん掲載したり、人材エージェントを使ったりすれば、採用コストが経営を逼迫してしまうでしょう。

本記事では、お金をかけずに採用を行う方法とあわせて、実施する際のポイントや注意点まで解説しますので、ぜひ参考にしてください。

採用コストの増加による人手不足倒産が急増

近年では、人手不足による企業の倒産が増えています。東京商工リサーチ社の調査によると、2023年1月〜2月の人手不足が原因で倒産した企業は、同期間として3年ぶりに前年を上回ったと報告されています。

画像引用元:東京商工リサーチ|2023年(1-2月)「人手不足」関連倒産の状況
画像引用元:東京商工リサーチ|2023年(1-2月)「人手不足」関連倒産の状況

人手不足倒産が増加している理由の1つが「採用コストの増加」が挙げられます。少子高齢化の影響により生産労働人口が減り続けている中、多くの産業で人材不足に陥っています。

新型コロナウイルスによって一時期は、求人倍率が低下したものの、行動規制が緩和され経済活動が再開してきている中で、再び人手不足の影響が出始めています。

新たな人材を獲得するには、求人広告媒体の掲載や人材エージェントに頼らざるを得ない中、結果として採用コストが利益を逼迫し、倒産に追い込まれている企業が増えています。

採用コストと平均相場について

効率的に人材を確保するためには、自社がどれだけ採用に費用を掛けているかを管理し、適切にコントロールすることが大切です。

そのためには、採用にかけているコストを把握し、他社の採用コストの相場と比較することで、自社の採用が適切な状態かを把握することが必要です。ここでは、採用コストと平均相場について詳しく解説します。

採用コストとは

採用コストとは、企業が人材を採用するにあたって、全体を通して発生した費用を指します。また、採用コストは「内部コスト」と「外部コスト」に大別され、それぞれ採用担当者の人件費や求人広告費まで様々なコストが分類されます。

内部コスト(企業内で発生したコスト)・採用担当者の人件費(人数×平均賃金)
・リファラル採用のインセンティブ
など
外部コスト(企業外で発生したコスト)・求人広告の掲載費用
・人材エージェントの紹介費用
・採用サイトの制作費用
など

採用コストの平均相場

一般的に採用コストは、企業規模が大きくなればなるほど増加する傾向があります。また、人材の獲得が難しいといわれているIT系、介護、建設、物流、金融業界では有効求人倍率も高いため、採用コストも上昇傾向となっています。

ただし企業規模や業界・職種、あるいは地域によって採用難易度が異なるため、どれくらいの採用コストが適正なのかは一概にはいえません。平均はあくまでも一つの目安として捉え、社内の前年実績などを比較対象とすると良いでしょう。

参考までに、リクルート社が発行した「就職白書2020」で発表された新卒採用と中途採用の平均コストは次の通りです。

新卒採用(一人あたり)中途採用(一人あたり)
2019年度93.6万円103.3万円
2018年度71.5万円83万円
参照元:就職白書2020|就職みらい研究所

新卒・中途採用ともに、採用活動コストは増加傾向にあります。主な理由としては、入社後のミスマッチや早期離職を抑えるために採用担当者以外の社員が採用に関わるケースも増えており、内部コストの上昇が挙げられます。

無料で人材を獲得する方法8選

ここまでの内容から、従来の採用方法では大きなコストがかかり、年々増えていることをお分かりいただけたかと思います。

しかし、限られた予算でも、工夫することでコストを抑えることも可能です。もちろんお金をかけずとも採用を行える手法もあります。ここからは、お金をかけずに人材を獲得する方法を8つ紹介します。

1.求人特化型検索エンジン(Indeed、求人ボックスなど)

求人特化型検索エンジンとは、一言でいえば「Googleの求人版」のことです。検索エンジンに自社の求人が掲載されるように、読み込ませることで無料で利用することができます

求人検索エンジンは様々なサービスがありますが、最も有名なのはIndeedです。その他にも、求人ボックス、Googleしごと検索、スタンバイといったサービスがあります。各検索エンジンによって特徴が異なるため、自社の業界や募集職種に応じて、検索エンジンを使い分けることがおすすめです。

また、サービスによっては無料で利用できる範囲が限定的であったり、より効果を高めるためには一定の運用スキルが必要だったりします。求人広告に比べて運用の手間は掛かりますが、上手に使いこなすことができれば、採用コストの削減につながるでしょう。

2.自社採用ホームページ

会社紹介のホームページとは別に、リクルーティングサイトと呼ばれる採用専用のホームページを制作すれば、自社の魅力を求職者に向けて発信することができます。採用ホームページを作成することに特化したシステムなどを活用すれば、Web制作会社に依頼せずとも、自社内で情報の編集や追加が可能です。

また採用ホームページ内で作成した募集要項は、求人特化型検索エンジンに読み込ませる(クローリング)ことが可能なので、自社採用ホームページを求人広告媒体の様に活用することが可能です。もちろんクローリングに費用は掛かりません。

その他、社員インタビューや最新の社内情報を定期的に更新することで、求人広告だけでは伝えきれない情報を余すことなく伝えることができるでしょう。

3.リファラル採用(社員・知人紹介)

リファラル採用は、自社の従業員や知人経由で候補者を紹介してもらう採用手法です。求人広告などの公募に比べて、自社の採用要件に合った人材を獲得しやすいといった特徴があり、近年注目を集めています。

特に、実際に働いている従業員からの紹介になるので、リアルな業務内容や社内環境を知ったうえで応募してくれるため、入社後のミスマッチや早期離職の抑制にも効果的です。

もちろん求人広告媒体を利用する必要がないため、費用はかかりません。ただし、紹介手数料として紹介してくれた社員に対して、報酬や特典を設けていることが一般的です。

4.貼り紙・チラシ・ポスター

貼り紙、チラシ、ポスターによる採用活動もお金を掛けずに候補者を集めることができます。アナログ的なやり方ですが、地道に取り組むことで効果を発揮する手法です。

実際に採用が上手くいっている企業ほど、こうした地道な採用活動を大切にしているものです。もし年間数名でも採用できれば、採用コストの削減に充分つながるでしょう。貼り紙やチラシの作成は手書きでも良いですし、WEBやアプリで使える無料のデザインツールでも作成できます。

さらに、作成したチラシ内にQRコードを記載しておけば、採用ホームページへの導線にもなります。

5.SNS(Twitter、Instagram、Facebook、YouTube、TikTokなど)

今やSNSは若者に限らずほとんどの年代で利用されており、日常生活にも浸透しています。そうしたことから、SNSを活用した採用活動手法も近年注目が高まっています。

特にSNSのメリットは無料で利用できることです。企業アカウントを作成し、ユニークなショート動画アップや社内の雰囲気が伝わる写真投稿など、創意工夫によって興味関心を惹くことが可能です。

特に求職者は、求人広告で気になる企業を見つけたら、その企業についてSNSで検索するなど、更に詳細な情報を求めています。求人広告媒体では、伝えられる内容に限りがありますが、その分SNSを活用することで、仕事内容や職場環境をありのままに伝えることが可能です。

結果として、採用後のミスマッチを防ぐだけではなく、その企業で働きたい動機形成の強化につながるため、優秀な人材獲得にも貢献します。

6.ブログ・noteなど

ブログやnoteを活用して、企業の最新情報や社内の詳細な情報を発信することも可能です。社員インタビューや社内イベントの様子など、自社の魅力を発信することで、求人広告だけでは伝えきれない情報を求職者に届けることが可能です。

また、社長コラムなど時事ネタやトレンドに対して、経営者独自の見解や考えを発信することで、その考えに共感してくれる読者がつきやすくなります。そうした読者はやがて自社のファンとなり、応募につながることもあります。

つまり、求人媒体はあくまでも転職顕在層を狙った手法ですが、ブログなどは転職潜在層に対してアプローチできる手法です。潜在層の共感を得られれば、採用コストをかけずとも優秀な人材獲得につながる可能性が高まるでしょう。

7.ハローワーク

ハローワークは、厚生労働省が全国に設置する「公共職業安定所」のことです。就職や転職活動を行う方に対して、職業紹介やキャリア相談、雇用保険の手続き、資格取得支援などを行っています。

国が運営しているため、企業は求人情報を無料で掲載できます。また、ハローワークが運営する「ハローワークインターネットサービス」を活用すれば、直接ハローワークに出向かずとも、インターネット経由で求人情報の掲載が可能です。

作成した求人票はハローワークインターネットサービスのサイト上だけではなく、Indeedなどの求人検索エンジンにも転載されるため、使わない手はありません。ただし、求人掲載するにはハローワーク職員の受理が必要であり、場合によっては条件の見直しや確認が入る可能性があります。

8.LINE公式アカウント

LINE公式アカウントとは、LINEが提供する企業アカウントのことです。LINE公式アカウントは現在無料から利用可能です。一般的には、BtoC向けにユーザーとのコミュニケーションで使われるケースが多いですが、近年では採用活動にLINE公式アカウントを利用するケースも増えています

例えば、応募後のコミュニケーションをLINE経由にすることで求職者とコミュニケーションロスを防ぐことができますし、メニューボタンを設置して動画やInstagramへのリンクを設定すれば、応募者の動機形成の向上につなげることも可能です。

応募後の面接来社率に課題がある場合など、メッセージによる直接フォローをすることで採用プロセスの歩留まり向上にも有効です。

お金をかけずに人材を獲得するためのポイント

しかし、単に無料で人材を獲得する手法だけを実践しても思うような成果が得られないでしょう。

お金をかけずに人材を獲得するためには、事前の検討や状況に合わせた運用が求められます。

ここでは、お金を掛けずに人材を獲得するためのポイントを5つ解説します。

採用ペルソナを具体的に設定する

採用ペルソナとは、採用活動において自社が求めている人物像を意味します。例えば、性別、年齢、家族構成、経歴、前職の内容など、細かく具体的に決めていきます。

なぜ採用ペルソナが重要かといえば、ミスマッチを防ぐためです。近年では、新卒入社後3年で3割以上が離職しているというデータもありますが、その理由として「入社前のイメージと違っていた」というミスマッチも少なくありません。そのため採用時にできるだけ求職者と企業が求めている人物像の乖離を減らすことが大切です。

採用ペルソナを設定することで、現場の従業員が必要としている人材要件と、採用担当社が考える人材要件の認識相違を減らし、ミスマッチを減らすことで採用コストの削減に役立ちます。

定期的に求人情報を見直す

いくらお金を掛けて求人広告に掲載しても、肝心な求人情報の質が低ければ思うような効果は得られません。逆に、お金がかからないハローワークや自社の自社採用ホームページでも、求人情報が詳細に記載されていれば、効果が高まります。

仕事内容が詳細に書かれているか、文章が読みにくくないか、他社と比べて見劣りしないか、といったことを意識しながら、定期的に見直すことが大切です。特に、ライバル企業の求人をチェックし、参考になるような書き方があれば、自社でも取り入れることも有効です。ただし文章をそのままコピーすることは著作権違法ですので、注意してください。

魅力的な企業文化をアピールする

企業のビジョンや働きがいのある環境、ワークライフバランスを重視した働き方など、魅力的な企業文化をアピールすることで、人材が集まりやすくなります。

例えば、リモートワークなどの多様な働き方や社内イベントの様子、活躍している人材のインタビュー記事などを発信することで、共感が得られやすくなります。

また、会社のビジョンやミッションなどが、誰にでもわかりやすい言葉で書かれているかも重要です。特に企業は代表者の想いに共感した仲間が集まるものです。文章だけで伝わりにくい場合は、動画などを発信することも有効です。

採用活動プロセスを見直す

採用活動プロセスとは、会社の採用活動における一連の過程を指します。採用活動は、求人掲載から応募者対応、書類選考、面接、内定出しなど多岐に渡りますが、それらを見直すことで採用力を高めることが可能です。

採用活動プロセスを見直すには、採用活動を可視化し応募者ごとの進捗状況を一元管理することが大切です。その中で課題を特定し、改善するための施策を取り入れると良いでしょう。

例えば、応募から面接までに来社率に課題がある場合は、カジュアル面談やオンライン面談を取り入れるなど、求職者の面接ハードルを下げることが有効です。。

また、面接来社時には既存社員から「〇〇さんですね!お待ちしてました!」「面接頑張ってくださいね!」と一言声をかけてもらうことも、応募者の動機形成の向上に役立ちます。金をかけずとも、ちょっとした工夫で自社の採用活動力を向上することが可能です。

手軽に始めるならATS(採用管理システム)がおすすめ

採用コストを掛けずに、効率的に採用活動を行う方法の1つとして、ATS(採用管理システム)の導入がおすすめです。ここではATSで実現できることを詳しく解説します。

求人検索エンジンに転載される

ATSで求人情報を作成することで、無料でIndeedなどの求人検索エンジンへ自動的に転載されるものがあります。その他にも、求人ボックスやスタンバイなどの複数の求人検索エンジンへ転載されるので、お金を掛けずとも自社求人情報の露出を増やすことが可能です。

候補者を一元管理できる

ATS上では、応募者情報を一元管理することが可能です。各応募者の選考ステータスを管理できるため、対応の抜け漏れを防ぎ、採用活動の効率化を実現します。

とりわけ複数職種や通年での採用を行っている場合、選考管理が複雑化・煩雑化しがちです。ひとつのシステム内で各応募者の応募者の情報と選考ステータスが可視化されれば、採用担当者は選考実務に注力できるでしょう。

応募者への連絡や返信がスムーズになる

採用活動を開始すれば、応募者に選考日程の案内や選考結果の通知など、一人ひとりとのやり取りが増えます。1〜2名程度の対応であれば、そこまで負担にはならないかもしれませんが、同時期に何十名もの求職者とやり取りするとなれば確実に負担になります。

ATSではメッセージ機能が充実しているため、面接日程の案内、履歴書郵送の案内、選考見送りなど、状況に応じたメッセージを速やかに送ることが可能です。

人材採用難により求職者優位の時代において、企業側の対応スピードは採用力に直結します。ATSを活用することで、採用業務の省力化・効率化を実現します。

求人情報やサイト編集が容易

ATSを使えば、求人情報の作成・編集・停止はもちろん、リクルーティングサイトとしてコンテンツの編集も容易に行なえます。HTML/CSSなどのコーディングスキルや、Webデザインに関する専門知識がなくとも、直感的に操作することが可能です。

外部のWeb制作会社に依頼する必要がないため、募集条件を変更したい場合や、退職者が写っている画像を変更したい場合などにも、自社で対応できるようになります。

まとめ

少子高齢化の影響や価値観の変化により、採用環境は年々厳しさを増しています。闇雲に求人広告を掲載し続けたり、人材エージェントに頼るだけでは、採用が追いつかないばかりか、採用コストが企業利益を逼迫する事態になりかねません。

大切なことは、お金をかければ採用ができるわけではないということです。むしろ、採用すべき人材のペルソナを明確にしたり、自社の魅力をSNSなどで発信するなど、マーケティング視点を持つことが重要です。

自社分析を徹底し、様々な手法を組み合わせて採用活動を行うことで、より自社にマッチした人材獲得につながり、採用後のミスマッチ抑制にもつながるでしょう。結果的に採用コストの抑制につながり、より筋肉質な組織へと成長することが期待できます。


<記事監修:高橋 洋介>
リクルートと広告代理店にて求人広告営業に従事。主に中小企業を中心としたアルバイト・中途社員の採用支援を行う。在職中にGCDFキャリアカウンセラー、国家資格キャリアコンサルタント資格も取得。独立後はフリーランスとして企業の採用実務支援から、Webマーケティング支援など幅広く活動している。